今回は、テレビのお話
2011年7月24日に行われる地上デジタル放送への完全移行まで、あと2年3ヶ月ほどとなりましたが、放送業界内でも完全移行の延期を望む声があることが明らかになりました。...............引用元『地上デジタル放送への完全移行、放送業界でも延期を望む声があることが判明』livedoor news より
ついに業界内でも、延長論が大きくなり始めているようです。はっきり言うと、現在地上デジタル放送が視聴できる家庭は50%にしかならないそうですから、むしろそういう意見が出なかったほうが不自然な状況でした。
ちょっとここでまず基礎の学習。そもそも、なぜわざわざ業界団体だけでなく政府までがアナログからデジタルへの以降を求めているのかといえば、そもそもテレビ用に使われる電波を節約するためなのです。
電波といえば、今はもうおなじみケータイ電話に始まり、テレビ・ラジオ・警察や消防などの無線・はたまた衛星との通信などあらゆる分野で利用されていますが、電波は限りなくいくらでも使えるのではなく有限なのです。この場合の有限は、石油などにより使えば使うほど少なくなりいずれはなくなってしまうという意味ではなく、同時に使える量が限られているということです。電波を使う場合はあらかじめどの周波数(テレビなどにたとえるとチャンネル)を何の目的に使うかということが取り決められています。そうしないと、みなが好き勝手に使い始めるととても使い物にならないからです。警察の無線にいきなりケータイの通話が混信してきたらそれこそ一大事に発展しかねません。
ところが、現在ありとあらゆる分野で無線通信が使われるようになりそのための電波の帯域(要はチャンネル)が足りなくなっているのです。特に最近ではケータイを一人一台持っているだけでなく、それを使って多くの情報をやり取りするようになってきています。多くの情報をやり取りするのにはより広い周波数が必要となり、他に使える電波の量が減ってしまうのです。
そこで、電波をより有効に使えるように無駄になっている部分を整理する必要が出てきました。テレビのアナログ放送からデジタル放送への移行はそれが大きな目的のひとつです。アナログとデジタルではデジタルのほうがより効率よく情報を伝えることができるため、少々情報の量を多くしてもアナログに比べれば少ない周波数で放送することができるのです。
ところで、皆さんはテレビをどれくらい見ますか?これはもう人それぞれでしょうが、それでもテレビの視聴者は徐々に減りつつあります。それは、インターネットやケータイの普及により娯楽がテレビからそれぞれへ散らばりつつあるからです。この状況を考えると、普及率50パーセントというのは昨今の不景気も少なからず影響しているでしょうが、もっとも大きな原因はテレビ離れだと僕は思っています。また、デジタル放送に切り替えると録画などに制限が出てきます。皆さんも、"コピー10"あるいは"B-CAS"という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。今回はここで詳しく述べませんが、要は録画やダビングが今まで以上に制限が厳しくなっていて、われわれ視聴者の自由がきかなくなっているのです。
もちろん、正確なデータを持ち合わせていないので断定はできませんが、もし僕の予想が当たっていれば今後普及率は6~70パーセントで頭打ちになるのではないかと思います。そして、今後それは減り続けるだろうと思います。若い層ほどケータイやインターネットを使う機会が多いからです。極端な話、テレビを持っていなければNHKの受信料は払う必要がないわけですから、その分をインターネットやケータイなどにまわすことでテレビ以上の情報や娯楽を享受することも可能なのですから。
もし、僕の仮定が正しいとすると国民の税金を使ってまで、普及率を上昇させる必要があるのかはなはだ疑問です。政府や業界関係者にはきちんとそういったあらゆる状況を考えて、行動していただくことを願っています。
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