GoogleのOS?

Google OS登場

みなさんはアンドロイドWケータイというのをご存じでしょうか。アンドロイドといっても人造人間とは全く関係ありません。これは、GoogleW社が中心となって作成したスマートフォンW向けの、オープンソースWOSです。日本でもまもなくドコモから端末が発売される様に、そこそこ盛り上がっているようです。

ところで、今日扱うのは同じくGoogleが開発しようとしているPC向けのOSの話題です。

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ウィンテル帝国

現在、PC向けのOSといえばWindowsWが筆頭でしょう。iPodW[/w]や[w]iPhoneWが流行ってから個人のプライベートPCとしては、MacOSWも少しずつ広まっているようですが、それでもまだビジネス向けのOSとしてはWindowsが鉄板です。

しかし、そんな状況も徐々に変化の兆しが現れています。それは、ネットブックWと言われる格安ノートPCの登場です。これらは、インターネットやワープロ・表計算などの軽量な処理に特化する事で軽量化・低価格化を図ったPCのことです。Eee PCWを筆頭に、Aspire oneなど今では多数のネットブックが店頭に並んでいます。

そこで使われているOSも当然Windowsなのですが、そこである問題が生じてきました。ネットブックで使われているOSはWindowsXPが主流だったのですが、それは先ほど説明したネットブックの特徴である"軽量な処理に特化"したためです。Windowsの最新OSはVistaなのですが、これは様々な機能が追加された代わりに、処理に比較的高性能なハードウェアが必要なのです。みなさんも、Vistaは重いとかXPの方が快適と言った声を聞いたことはありませんでしょうか。それは、VistaとXPとでは後者の方が低スペックのPCで快適に動かせるためです。

そもそも、PCのソフトは数年前までバージョンアップとともにより高スペックのハードウェアを要求する傾向がありました。それは、数年前まではハードウェアの性能の向上がまさに日進月歩で起こっていたために、ソフトウェアを軽量にする必要がなかったからです。そのため、ソフトウェアメーカーは、いかに処理を軽量にするかを考えるより、いかに便利な新機能を盛り込むかの方が大事だったのです。

そして、これはもちろんWindowsにも当てはまり、新しいバージョンのWindowsを利用するためにはより高性能なPCが求められ、その中でも重要なのはCPUやメモリといった半導体であったため、Windowsの"ウィン"と(WindowsPCに使われるCPUを販売する)インテルの"テル"からウィンテルW帝国という言葉が生まれたほどです。

ネットブック登場

しかし、最近になってハードウェアの進歩に徐々にかげりが見え隠れするようになり始め、さらにユーザーも一般的な用途であれば最新のハードを利用せずとも困ることがなくなったのです。そうなると、当然ユーザーは高いお金を払って高性能なPCを手に入れるより、平均より多少性能が劣っていても手頃な価格のPCを購入するようになります。それが顕著に現れたのがネットブックだったわけです。

MS社もそのような環境の移り変わりを見逃していませんでしたので、Windows 7は軽量化を図ってXPの後釜としてネットブックにも対応できるようにしたと言っています。

が、そうはいっても今まで、軽量化よりも多機能かを押し進めてきた開発陣が一朝一夕でそれをひっくり返せるほどOSは単純なものではありません。そもそも、Windowsは"誰でも使える""汎用"のOSですから、ハードルはさらに高いでしょう。従来製品との互換性の問題も絡んできます。

新たな設計思想

そこで、Googleの開発する新しいOS、「Google Chrome OSW」(以下Chrome OS)です。これは、Linuxをベースに開発されるオープンソースのOSで、設計思想は「速く,シンプルで,セキュアなOS」と言うことで、高速起動・動作、シンプルな操作性に、セキュリティーを重視するとのことです。

現在、IT業界ではクラウドコンピューティングWという利用形態が注目されつつあります。これは、簡単に説明すると、従来のコンピュータ利用は、「ユーザーがコンピュータのハードウェア、ソフトウェア、データなどを、自分自身で保有・管理する」に対し、クラウドコンピューティングでは「ユーザーはインターネットの向こう側からサービスを受ける」というものです。

簡単に言えば、ウェブメールを思い浮かべていただければよいでしょう。ウェブメールではメールソフト・受信したメール・送信したメールなどは、すべて提供もとのサーバーに存在し、ユーザーはネットを通じてそれを利用するわけです。他にも、グーグルを例に挙げると、Google マップW(地図)・Google ドキュメントW(ワープロ・表計算など)など、あらゆるサービスが登場しており、クラウドコンピューティングとはそれを極めたものというわけです。

そして、クラウドコンピューティングが一般的となった暁には、個人のPCにはブラウザが入っていれば十分ということになります。そう、グーグルはそんなOSを開発しようとしているのです。グーグルは自らオンラインでサービスを行っていますから、それらを快適に利用できるOSを作り上げてくることでしょう。

メリットデメリット

さて、問題は「Chrome OS」が成功して一般のユーザーへ普及するか否かです。

ここからは、あくまでも筆者の予想なのですが、成功までの道のりは容易なものではないでしょう。確かに、「Chrome OS」にはWindowsにはない、メリットが存在します。先にも述べたように、ネットに特化したOSですから、インターネット上のサービスを利用するのには非常に便利なものとなるでしょう。

また、オープンソースで開発されており、PCメーカーは無償で利用できることも強みでしょう。Windowsは一説によると、PCの価格の5%~15%を占めると聞きます。これは、メーカにとっては決して軽い負担ではないので、それが無料になるとなると更なる低価格化が望めます。

また、グーグルが開発するOSということで、話題性も抜群です。無料のOSは、これまでのも多数存在していましたが、時代背景的に一般のユーザーにはほとんどその存在を知られることはありませんでした。今でこそ、「UbuntuW」など徐々に広がりはじめていますが、グーグルの名の宣伝効果は計り知れないものがあります。

と、ここまで言うと勝算はかなり高そうですが、メリットがあれば当然デメリットも存在するわけです。

まず、これまでWindowsで使われてきたアプリケーションソフトの数々は、使うことはできません。もちろん、メーカーや作者が「Chrome OS」に対応させれば利用できますが、そうなるまでにはかなりの時間がかかることでしょう。

また、同じくデバイスドライバW(以下ドライバ)の問題もあります。ドライバーとは、OSがハードウェアWを操作するために必要なプログラムのことで、皆さんもプリンターなどを購入した際に、一番最初にCDをPCに入れて各種ソフトをインストールしたことがあると思いますが、その中のひとつにドライバが存在します。こちらは、アプリケーションよりもさらに深刻な問題です。アプリケーションであれば、同機能の別ソフトを使うということも可能ですが、ドライバが存在しなければ、そもそも「Chrome OS」を利用できませんし、たとえ必要最低限のドライバが出揃っても、ネットを見たり保存はできるけど印刷したりUSBメモリに保存できないなどということも往々に発生することでしょう。

特に、前者2点は、まさにWindowsの強みのひとつです。資産といっても過言ではありません。これは、Windowsがソフトウェアの開発環境をそろえてあるためです。Microsoftが開発するものはもちろん、他のソフトメーカーが開発するものから、個人が無料で配布しているまでさまざまです。Windowsの発展は、この環境故といえるでしょう。

さらに、クラウドコンピューティング自体にもリスクが存在します。それは、クラウドコンピューティングが一極集中型だからです。これまでのPCでは、処理を自らのコンピューターで行っており、データもすぐそこのPCやUSBメモリに保存されていますから、仮に友人のコンピューターが故障しても自分のコンピュータにはなんら影響はありませんし、仮に自分のパソコンの調子が悪くなってもバックアップさえ取っていれば、データも失わずにすみます。

ところが、クラウドコンピューティングでは、処理の大部分をネット上のサーバーで行うわけですから、万が一そのサーバーに不具合が発生してしまうと、同時に多くのユーザーが影響を受けることになります。下手をすると、友人が誤った処理をしてしまいサーバーに負荷がかかりダウンしてしまって、自分の処理までもエラーが発生するということが起こりうるということです。データもサーバー上にあるわけですから、自分ではどうにも対策しようがありません。

成功するか?

成功の可否は、ネット環境の整備とアプリケーションの数しだいでしょう。

まず、そもそも「Chrome OS」(クラウドコンピューティング)はインターネットあってのものですから、それに接続できる環境が必要です。そして、日本ではインターネットの利用環境は比較的そろっているとはいえますが、クラウドコンピューティングが主流になるにはまだまだ足りません。何せ、インターネットにつながっていなければ、PCが使えないわけですからそれこそ、24時間どこでもつながる環境が必要です。皆さんの中にも、ウィルコムWイー・モバイルWなどのモバイルデータ通信サービスを利用している人々はいると思いますが、まだ一握りです。大多数は、まだケータイのフルブラウザが関の山です。

また、アプリケーションの数も問題です。先にも書いたように、Windowsには膨大なアプリケーションが存在します。その中には、ユーザーが長年使い込んでいるというものも存在することでしょう。そういった、使い慣れたソフトウェアを捨て新しいソフトに乗り換えるということは、一般のユーザーにとっては非常に大きな障害です。ある意味、Windowsの価格は、そういった環境に支払う費用と考えれば決して高くないともいえます。

以上の点から、「Chrome OS」が成功するか否かは、ネット環境がいかに普及するか(これは、日本だけではなくPCを利用する多くの国でです)と、ヘビーユーザーに感心を持ってもらえている間に、どれほどのアプリケーションを開発できるか、あるいはしてもらうかにかかっているでしょう。

歴史は動くか

仮に、先の条件を満たし「Chrome OS」がWindowsにとって変わるとすると、間違いなくITの歴史に名を残すこととなるでしょう。その目撃者となるか、あるいは「Chrome OS」がかつての無料OSと同じく一部ユーザーのみが使うのみに止まるのか、非常に興味があります。といった、ところで今日はここまで。

(だらだら長く、読みにくい記事なってしまい申し訳ありません。というか、ここまで読んでくださってありがとうございます。

— posted by YamaKen at 10:53 pm   commentComment [1] 

この記事に対するコメント・トラックバック [1件]

Up1. yutakarlson Website — 2009/07/12@11:06:04

■グーグルがパソコンOS開発、当初はネットブックに搭載へ―マイクロソフトの牙城を崩し新しいスタンダードとなるか?
こんにちは。グーグルがとうとう、パソコンOSの開発を正式に発表しましたね。これは、前からいわれていたのですが、正式にははじめてのことです。現在丁度、パソコンは、本体にソフトを入れて使う時代から、本体にはブラウザのみ入れて、ブラウザにより、いろいろなサービスを受けられる時代に変化しつつあります。これをスムーズに行うためには、いわゆるブラウザがOSのような働きも兼ねていることが望ましいですね。この、新OS「グーグル・クローム・オペレーティング・システム」はまさにこれを狙ったプロダクトです。まだ詳細は、説明されていませんが、その登場が今から期待されます。私のブログではこの新しいOSに関して私の考え方などを掲載しました。詳細は是非私のブログをご覧になってください。

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